2010/10/29 御堂関白日記

 筆、いろいろな筆がありますよね。書道の筆、油絵の筆、女性がお化粧をするときの化粧筆。ああいう筆はどこで作っているかご存知ですか? 実は広島県は筆の一大産出地で、特に広島県安芸郡熊野町というところは日本全国の筆生産額の80%を占める「熊野筆」産地です。詳しくは熊野筆HPをご覧下さい。

 さて、その熊野町に「筆の里工房」という展示施設があり、今「陽明文庫・国宝展 近衛家1000年の至宝」と題された特別展開催中です。(11月4日まで) 先週日曜日、雨の中を妻の運転で出かけました。広島市から熊野町へ向かう道路は山間を縫う登り下りのきつい道です。
101024 陽明文庫 国宝展

 戦前、三度にわたって総理大臣を務めた近衛文麿が、近衛家に代々伝わる文化遺産を維持管理するために設立したのが陽明文庫、というわけです。

 展示会場に入ったすぐのところに何点か近衛文麿の書がでていましたが、私が最も印象深かったのは終戦の年の八月に書いたという杜牧の漢詩、「烏江亭に題す」の軸。漢詩を横書きにするというのもおかしなものですが、あえて掲げますとこういう詩です。

   勝敗は兵家事期せず
   羞を包み恥を忍ぶこれ男児
   江東の子弟才俊多し
   捲土重来未だ知るべからず

 太平洋戦争に敗れたその八月、「捲土重来未だ知るべからず」と書いたその近衛さんが十二月には青酸カリを飲んで自殺してしまうわけです。我々はそのことを知った上でその書を見るわけですが、書いた本人はその時点では捲土重来の決意満々だったはずで、悲哀を禁じえません。

 展示の主眼はもちろん近衛さんではなく、近衛さんのご先祖の藤原摂関家の面々の書簡などです。特に藤原道長の日記、国宝「御堂関白日記」は、もちろん私には読めませんが、1000年前の権力者の肉筆の迫力に圧倒されるようでした。解説によると、中には雪の中を高野山に向かった息子を案じる記事などもあるそうで、意外に人間臭い文化財なんだとおもいました。

 千年前のこういうものが残る一方、我々の時代は何を残すのでしょうか。千年後、31世紀の展覧会には何が展示されるのでしょう。紙の媒体から急速に電子情報に変わっていった時代だった、ということで発掘されたCDとかケータイとかでしょうかねえ。

 しばし、考えてしまいます。


にほんブログ村 料理ブログ 魚料理へ
にほんブログ村
スポンサーサイト

コメントの投稿

非公開コメント

プロフィール

hoyatabetai

Author:hoyatabetai
FC2ブログへようこそ!

最新記事
最新コメント
最新トラックバック
月別アーカイブ
カテゴリ
FC2カウンター
フリーエリア
検索フォーム
RSSリンクの表示
リンク
ブロとも申請フォーム

この人とブロともになる

QRコード
QRコード